【授業紹介】家族社会学(渡邊千恵子) 「大学生のためのライフプランセミナーを実施しました」
2022/01/12
「家族社会学」とは
「家族社会学」は人文社会学類3年次開講の科目です。この科目は他学類の学生も受講できる他学群開講科目で、今年度は人文社会学類と心理学類の学生が受講しています。
皆さんは、「家族」という言葉から何をイメージするでしょうか? 夫婦や親子といった関係、家事、育児、介護といった役割など、様々なことが浮かんでくると思います。現在、家族が抱える問題は多岐にわたり、その問題は社会情勢の影響を大きく受けています。時代や社会が変われば家族のカタチも変化しますが、現在の家族問題は「変わらない家族観」によるものが多くみられます。
「家族社会学」では、複数の家族観が混在することによって生じる問題や、家族を構成するメンバーの関係性について学び、自分が創りたい「家族のカタチ」を考えることができる知識や考え方を身につけます。
大学生のためのライフプランセミナー
「家族社会学」の一環として、12月6日に「大学生のためのライフプランセミナー」を開催し、70名の学生が参加しました。このセミナーは、大学生がライフプランを考える際の一助となることをねらいとして、宮城県が主催し、企画運営を河北新報社が担当しました。
第一部では東北大学病院周産母子センターの只川真理先生が妊娠・出産や不妊についての基礎知識とともに、子供を持つことの責任についてお話しいただきました。
受講した学生の感想を紹介します。
「今回のセミナーを聞いて妊娠や出産に関する知識は、できるだけ早く学んでいた方が良いと実感した。私がこう思えるようになったのは、妊娠中の女性と同じ目線で妊娠・出産を乗り越える必要があると感じたからだ。妻の妊娠発覚後による母体の変化や胎児の成長過程を知ることはもちろん、パートナーの女性のメンタルヘルスケアを徹底的に行なったり、乳児を育てる上で肝要な知識などを学習したりするなどの行動は、父となる全ての男性に求められている。妊娠中の妻にとって不安要素の解消や事前知識の導入で、妻を孤立させず自らも懸命に介入することにより、新乳児の誕生はとても感極まったものとなると思う。」
第一部 只川先生講演
第二部では、竹下小百合氏(NPO法人ファザーリング・ジャパン東北)がファシリテーターとして、育児休業を取得された武田陽介氏(株式会社東北博報堂)から育児休業を取得された理由や子育ての様子などをインタビューされました。
お二人の体験に基づいたリアルなお話しに学生たちは前のめりでお話をうかがっていました。学生の感想を紹介します。
「家族社会学の講義で学んだように、家族の役割分業という従来の考え方が崩れてきているということを、セミナーを受けて実感した。二人のお話の中では常に、子どもを中心として父親と母親が協力して子育てをしていくということが前提となっており、これまでのような、父親が仕事をして母親が家事をするという形態が前時代的であるということがよく伝わってきた。また、女性が子育てに対してネガティブになったり、不安を抱えてしまうということが日本社会では多くあるが、父親が子育てに積極的に参加することによって女性も安心して子育てや仕事に取り組むことができ、ひいては少子化問題の改善にもつながるのではないかと考える。」
第二部 竹下氏と武田氏によるパネルトーク
セミナーを実施して
「家族社会学」で一貫して学生に伝えていることは、「当たり前は疑ってみよう」ということです。妻だから、夫だから、母親だから、父親だからといった「当たり前」に縛られることなく、自分や家族の「well-being(幸福)」を実現するためには、まず目の前にいる人と積極的にコミュニケーションをとること、そして理解しあうことです。
今回の「大学生のためのライフプランセミナー」では、タブー視されがちな性・生殖について男女で学ぶことができた点で、非常に意義があったと考えています。また、学生たちは、講演とパネルトークを通して、両性(女性・男性)が妊娠・出産・育児の当事者であることを改めて認識することができたように思います。
関係者の皆様に感謝申し上げます。
「家族社会学」科目担当 渡邊千恵子
質疑応答の様子