尚絅学院大学

人文社会学類 お知らせ

【人文社会学類】共生環境実習 山形県大江町での実習報告

2024/11/16

 10月5日、共生環境実習の学外授業(実習)として、学生25名と教員3名(鳥羽・馬場・岡田)で、山形県西村山郡大江町を訪れました。この科目は、共生環境領域を選択することを検討している学生(主に1年生)向けに、1年生前期科目である共生環境論の学びをもとにして、人と人の共生、人と自然の共生について、地域社会の現場の営みから考える実習を行うものです。
 大江町は山形県中央部にある人口およそ7,500人の町で、大学からは1時間余りです。最上川舟運で栄えた左沢、農村部である本郷、朝日連峰の麓に位置する山間部の七軒という3地区から成り立ちます。

【写真1】楯山公園からみた大江町の遠景

【写真1】楯山公園からみた大江町の遠景

私たちはまず本郷地区にて、新規就農者受け入れ支援を行う「osinの会」さんよりお話を伺いました。まず代表の渡辺誠一さんから、会の設立の経緯や活動の概要、これまでの実績についてご説明がありました。連絡窓口となっている大江町役場農政係の菊地春紀さんからは、行政の立場から会の意義についてお話いただき、会員の新規就農者の方々からは移住や農業を始めた経緯、大江町で営農することのやりがいなどをお話いただきました。

【写真2】「osinの会」さんからのレクチャーの様子

【写真2】「osinの会」さんからのレクチャーの様子

その後学生たちは農業体験実習を行いました。収穫シーズンの農産物である枝豆、すもも、りんごの3グループに分かれ、農業者さんのレクチャーのもと、作業に励みました。これまで農業体験をしたことのある学生は少なく、慣れない手つきで悪戦苦闘しながらの作業となりましたが、季節のフルーツをいただくなど、楽しい時間にもなったようです。

 

【写真3】りんごをほおばる学生たち

【写真3】りんごをほおばる学生たち

午後は左沢地区へと移動し、地区の特徴である歴史的な街並みについて学びました。まず、歴史ある銀行の建物をリノベーションして、カフェとコミュニケーションスペースとして地域の交流の場となっている「大江町まちなか交流館ATERA」に立ち寄り、お話を伺いました。ATERA運営者の佐々木祥太さんからは、設立まで過程やそのコンセプト、運営方法や現在までの利用のされ方についてお話がありました。左沢で生まれ育ち、長年まちあるきガイドをしてきた石川博資さんからは、舟運で繫栄した左沢の歴史をレクチャーいただき、最上川舟唄も披露してくださいました。

【写真4】ATERAでの佐々木さんのお話

【写真4】ATERAでの佐々木さんのお話

 講義時間のあとは、実際に左沢の歴史的町並みを見学しました。ご案内いただいたのは、石川さんと、町役場教育文化課歴史教育係の水戸部泰子さんです。歴史ある建物の歴史や、一つ一つの道路からも地域の歴史的な背景が読み取れること、最上川と左沢地域との関わりの変遷などについて、詳しくご案内いただきました。最後はその眺望の美しさから日本一公園とも称される楯山公園に行き、地域の景観を俯瞰的に観察しました。

実習の締めくくりは、当日リニューアルオープン日だった道の駅おおえ「コラマガセ」を訪問し、まちづくりや特産品の販売方法について学びました。「osinの会」メンバーの方々が生産した農産物をはじめ、町の様々な特産品が並ぶなか、学生たちはお土産を買ったりおやつを食べたり、楽しい時間を過ごしていたようでした。

 以上のように一日がかりの盛りだくさんの内容となり、学生たちは大変学びの多い、充実した時間を過ごしました。本科目では大江町での学習内容をもとにして、おのおのが抱いた問題関心を一層掘り下げ、調査分析を行うグループワークを実施しています。現在、報告会に向けた作業に取り組んでいます。

 道の駅リニューアルオープン日というお忙しい時であったにもかかわらず、大変ご親切、ご丁寧なご準備やご案内をしてくださいました大江町の皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

【写真5】左沢地区の街並み見学の様子

【写真5】左沢地区の街並み見学の様子