尚絅学院大学

人文社会学類 お知らせ

【人文社会学類】「メディア表現論」ゲスト講義1・2~「火星の庭」前野健一さんを迎えて~

2024/07/22

 人文社会学類1年次前期科目「メディア表現論」では、全15回の授業のうち数回を、主に宮城県内で表現やメディア関係の活動に関わっている方を招いて、教員とのトークセッションという形で授業を行なっています。7月2日・9日の授業では、仙台市内の「book cafe 火星の庭」の店主である前野健一さんとのトークセッションを行いました。


 1回目の7月2日の授業では、オンラインで「火星の庭」と教室をリアルタイムでつなぎ、教室のスクリーンに「火星の庭」の様子を写し出しながら授業を行いました。前野さんには、現在の本や書店をめぐる状況や、「火星の庭」で行っているさまざまな活動についてお話しいただきました。実際に「火星の庭」に行ったことがない学生も、「火星の庭」で話を聞いているかのような雰囲気を感じ取ってもらえたのではないかと思います。

 2回目の7月9日の授業では、前野健一さんを大学にお招きし、対面で授業を行いました。前半は受講生の質問に答える形で進め、後半は前野さんの「市民映像作家」としての活動について、実際の映像や創作物を見せていただきながらお話しいただきました。この話を通じて、学生のみなさんが、自身の「伝える」ことや「表現する」ことについて改めて考え、これからの自身の活動につなげていってくれることを期待しています。

【1回目の学生の感想(一部抜粋)】

 私にとって、書店や本との関わりはあまり多くなく、消極的なものであった。学校や予定が終わった帰りに少し寄る程度であり、今回のお話であった古本屋などに行くことは、ほとんど無かった。‥(中略)‥この様に書店に対して消極的な自分であったが、前野さんのお話を聞いたことでその認識は大きく変わった。今までの本を買う場所としか認識していなかった書店が、古本屋の特徴や、人々の交流、パレスチナや震災、著者のトークなど様々な活動を行うコミュニティとしてみるように変わった。そのため、これからは、書店の中の様々なジャンルに目を通す、古本屋に足を運び活動に参加するなど、書店や本に対して積極的になりたいと考えた。(人文社会1年Aさん)

 能登半島地震チャリティ営業の記事を見て、売上から寄付をするのはなかなかできないことだと思いました。しかし、前野さんは寄付しようと考え、実際に行動されています。このチャリティ営業は、寄付したいけれどどうすればいいのかわからない人と被災された能登の人々を「つなぐ」ことだと思います。火星の庭は「人と人をつなぐ場所」でした。それは「人と人を繋ぐ人」、先駆者がいないとできなかったことであり、その「人と人を繋ぐ人」が前野さんなのだと考えました。パレスチナオリーブの活動にしても、皆川万葉さんがいて、その「活動や活動する人と賛同して参加したい人をつなぐ」役割を担っているのが前野さんだと思います。‥(中略)‥普通は思っても動くことがなかなかできない。それを突き動かすものは何なのだろうか、その動力は何なのだろうか、と思いました。(人文社会1年Bさん)

 今回お話を聞いて、前までとは変わるものがありました。今まで本屋は、読みたい本を事前に調べて、ただ買って終わりというものでした。言ってしまえば、そんなに長居する場所ではないと思っていました。しかし、本屋は自分が探している本を見つける場所でもあるが、本によって人と繋がる事ができる場所だということも実感する事ができました。本屋は一人で目的の物を探す素晴らしい施設でもあるが、著者の話を聞いたり、イベントに参加したりなど、その場所でやることに意味があることを経験できるので、本屋は必要な場所だと思うし、今後このような本屋についてもっと知り、立ち寄ってみるなどして理解を深めていきたいと考えました。‥(中略)‥色々な方がお店に来て、お話をされていることから、人との繋がりを大切にしていることと、他者の考え方も知ることができる良い時間を過ごすことができるということがわかりました。(人文社会1年Cさん)


 

【2回目の学生の感想(一部抜粋)】

 今回のゲストトークで前野さんのお話を聞いて、人に自分の思いを伝えるための手段は言葉だけではないということを改めて学びました。前野さんがこれまで制作してきた作品のような映像だけでなく、本などのような文字、他にも絵画や音楽などのように視覚的・聴覚的に感じ取るものなどさまざまな表現方法があると考えました。そして、その表現方法は自分に合ったものを選ぶことで、表現の幅はさらに広がっていくということもわかりました。‥(中略)‥表現することの大事さを今回のゲストトークを通して再認識することができたので、これからは自分が好きなものをなるべく早く見つけ、それを使って自分を表現してみたいと思いました。表現のしかた次第で、多くの人から共感してもらったり感動してもらうことができることを学べたので、この授業は自分の将来にとって良い経験になったと感じました。(人文社会1年Dさん)

 前野健一さんのお話を聞いて、「表現すること」は自分の自信に繋げることが出来るのかもしれないと考えた。自分の好きな事を仕事にするというのは簡単なことではないと思うし、好きな事を仕事に出来たとしても"好き"が続かないかもしれない。私は、自分の好きな趣味などをあまり表には出さない事が多く、自分の中だけで楽しむ節がある。それはそれを"好き"だと言うこと自体に恥ずかしさや、それを胸張って好きと言えるほどじゃないと相手に思われたらどうしようだとかネガティブに捉えてしまうからだ。それに対し、前野さんのように表現することを大切にし、チャンスが来たらその場に全ての熱量を尽くすくらいの勢いで、自分のことを伝え、表現していた。このように自分自身を知ってもらうことで、更に自分の自信へと繋げていけるのかと考える。‥(中略)‥「伝えること」や「表現すること」を意識して、自分自身のことを相手に理解してもらえれば、その瞬間に安心に似た自分への自信が付くのではないか。このように私はこれから自分のことを大切に、自信を持っていけるようにまず自分自身のことを「表現」するよう積極的に関わっていきたい。(人文社会1年Eさん)

 今回の前野さんのお話を通して、「伝えること」や「表現すること」とどう向き合っていくべきなのかを考えた。前野さんのお話からは、火星の庭にかける思いや取り組み、「市民映像作家」としての取り組みや表現方法について学んだ「市民映像作家」としての前野さんはとても生き生きとしており、本当に作品を作ることを楽しんでいると感じた。‥(中略)‥特撮という、怪獣やセット、物などを一から作り、限られた環境で撮影する工夫は、時間や労力のかかる作品である。‥(中略)‥このことから「伝えること」と「表現すること」は、演出や効果音、技術なども含まれているが、何よりも作品への愛や情熱を相手に伝える事が重要だと考えた。そのため、これから作品と関わっていくときは製作者が込める作品への情熱や想いなどの本質的なものを感じていきたいと考えた。(人文社会1年Fさん)