自分の研究スタイルについて [心理学専攻 准教授 川端 壮康]
2015/05/12
私がずっと興味を抱いてきたテーマは、広い意味で人の適応と不適応ということです。もう少し具体的に言うと、人はなぜ不適応に陥るか、そして、人はそこからいかにして回復していくのかに興味があります。
心理学の研究法はとても多様で、いろいろなアプローチがありますが、私自身は、いわゆる社会心理学的なアプローチと、臨床心理学的アプローチの両方の面から問題に迫っていきたいと考えています。つまり、下図のように、(単純化していえば)より一般的・集団的・調査実験的な社会心理学的アプローチと、より病理的・個人的・実践臨床的な臨床心理学的なアプローチの両方からテーマに切り込んでいきたいと考えています。
例えば、現在研究しているテーマの一つに、攻撃性や怒りと、抑うつの関係があります。日常的なイメージからすると、腹を立てて人を攻撃することと、落ち込んだり元気がなくなったりすることは反対のことのようにも思えますが、実は、深い関係があることが分かっています。
下図のように、どちらも、ストレス場面での人間の対象行動と捉えることができ、抑うつ者的な物事のとらえ方をする人は、周囲に怒りを抱き、攻撃的に振舞いやすく、また、怒りをおさえることで抑うつが引き起こされやすいというように、両者はお互いに移行し合うことが、これまでの研究から明らかになっています。
こうした心的メカニズムが質問紙調査などを通じてある程度明らかになってきているので、これからは、調査や実験を一層進めるとともに、さらに実際の個人の面接やグループでの心理教育を通じて、どうやったら、そのメカニズムの理解に基づいた介入が援助に役立つのかを調べていきたいと思っています。