尚絅学院大学

人文社会学類 お知らせ

【人文社会学類】石巻市でのフィールドワークを通じて

2025/11/19

 藤本ゼミ(人文社会学類3年次科目「卒業研究I」)ゼミでは、行政や公共政策をテーマに日々活動しています。今回の夏休みのゼミ活動では、東日本大震災とその復興政策について理解を深めることを目的に、石巻市役所、「石巻市震災遺構門脇小学校」および「みやぎ東日本大震災津波伝承館」を訪問しました。
 復興政策をより詳細に把握するため、石巻市の職員の方々にご協力いただき、聞き取り調査を行いました。担当職員としての経験や行政の視点、市民生活・地域経済への影響などについて具体的なお話を伺う中で、事前には思い至らなかった視点にも触れ、新たな発見がありました。現場の声を直接聞くことの意義を、改めて実感する機会となりました。
 なかでも印象的だったのは、国とのかかわりに関する話、復興交付金に関する説明です。復興政策を財政面から支える制度について具体的に伺うことで、普段あまり意識することのない行政の仕組みや動きを理解できました。また、住まいの復興が直面する複雑な課題や、住民の声を政策に反映させる難しさについても、多くの学びがありました。


 「石巻市震災遺構門脇小学校」は、津波および津波火災の痕跡をそのまま残す震災遺構です。被災当時の姿をそのままとどめる校舎を見学し、被災者の証言映像を視聴したほか、当時流されていたラジオの音声も聞くことができました。実際に使用されていた仮設住宅や、津波の力で大きく変形した車も展示されており、インターネットで見るのとは異なり、災害の凄まじさがひしひしと伝わってきました。ほんの一部かもしれませんが、当時の空気を肌で感じることができたと思います。
 続いて訪れた「みやぎ東日本大震災津波伝承館」では、被害の記録や復興の歩みを体系的に学ぶことができました。展示パネルや映像資料に加え、VRゴーグルを装着して震災状況を仮想体験することで、被災のリアルを体感しました。
 今回のフィールドワークを通じて、現地に足を運ぶことでしか得られない多くの発見がありました。行政担当者の生の声や震災遺構・伝承施設の見学を通して、東日本大震災の被害や復興の過程をより具体的に認識することができました。この経験を、今後のゼミ活動や研究に活かしていきたいと考えています。