尚絅学院大学

人文社会学類 お知らせ

【人文社会学類】 正田 倫顕先生

2023/06/27

自己紹介

私はこれまでキリスト教を背景として展開する西洋美術史の研究をしてきました。古代から現代に及ぶ美術作品を広く渉猟するとともに、絵画に描き込まれた芸術家たちの思考や思想を読み解くことに研究の主眼を置いています。題材やモチーフの起源をたどる従来の美術史研究のみならず、欧米圏における諸研究を批判的に検討しながら、作品の背後に脈打つ思想性を解き明かそうとしてきました。とりわけフィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh, 1853-90)を研究対象とし、思想や宗教の観点から彼の芸術世界に迫っています。


研究内容

拙著『ゴッホと〈聖なるもの〉』(新教出版社、2017年)においては、ゴッホの作品とその宗教性をテーマとしました。元々牧師になりたかったゴッホにとって、キリスト教は精神的に重要なバックボーンでした。しかしやがてキリスト教に幻滅し、そこから離れていってしまいます。そうした彼の絵画に宗教的なものがどのように表現されることになったのか。ゴッホの作品を詳細に分析し、芸術世界と宗教的現実の相互浸透性について考察しました。ゴッホを美術史的観点から分析するだけでなく、宗教人間学の視座からも見据えています。図書館には私の書いた本や雑誌が6冊入っていますので、是非手に取ってみて下さい。

『ゴッホと〈聖なるもの〉』(新教出版社)

『ゴッホと〈聖なるもの〉』(新教出版社)

学生へのメッセージ

主に19-20世紀の西洋美術を対象に、学生の皆さんに絵画の見方を深めてもらいたいと考えています。日本には毎年、数多くの西洋絵画がやってきて、様々な展覧会が開催されています。しかしただ漫然と見ているだけでは、芸術世界の真相(深層)は見えてきません。その奥には寓意的な意味が隠されていたり、ギリシア・ローマ神話やキリスト教思想が秘められていたりします。感覚的に享受するだけでなく、哲学・思想・宗教的な意味合いにまで考察を進められるよう導きたいです。

「ゴッホの《ひまわり》――パリ編」(『図書』岩波書店)

「ゴッホの《ひまわり》――パリ編」(『図書』岩波書店)

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