【国際交流リレーエッセイ 第1回】オーストラリアのタスマニアで働いてみました!
2017/07/05
本稿は、2014年度に本学の人間心理学科を卒業された吉田智美さんが、日本を飛び出して綴った奮闘記です。海外で頑張る卒業生のリアルな声をお届けします。
こんにちは、吉田です。本文はワーキングホリデーに挑戦すべく、渡った先のオーストラリアでの出来事を徒然なるままに記したものになります。2016年10月から今現在(2017年6月)までを思い出しながら書いてみました。
皆さんはワーキングホリデー(以降ワーホリ)をご存知でしょうか?何となく名前だけ知っているという人が多いのではないかと思います。ワーホリとは簡単に言えば、1年間就労と就学が認められる制度です。ただし、年齢・就労期間・就学期間に制限があります。
ここで働いてみました!(タスマニアの地図)
では、何故私がこのワーホリをやっているのかと言うと、それはそれは様々な理由が挙げられます。洋楽や洋画が好きなので、英語の勉強がしたい!なんていう英語力向上も理由のひとつです。また、高校以降英語なんて勉強してこなかった私が、言葉も人種も環境も違う国で、自分に何ができて何が出来ないのかを知りたいという好奇心の強さも、その理由です。そして、オーストラリアを選んだ理由は、単純に日本からあまり時差が無いのということに加えて、私は生まれも育ちも東北なので、暖かい場所が大好きだということにあります。
ということで、私は約2か月語学学校へ通った後で、そこで知り合った友達に仕事を紹介してもらい、急遽タスマニアへ飛ぶことになりました。仕事の内容はホテルの中に併設されているレストランでの給仕・キッチンハンドと客室のハウスキーピングでした。
友達には「森の中のホテルだから本当に周りには何もない。Wi-Fiも無い。」と最初から教えられていました。ですが、何もない場所といっても少しくらいコンビニや人家、商店くらいはあるのではないかと想像していました。ところが実際行ってみると、タスマニア州の州都ホバートからバスに揺られ2時間半かかる場所にそのホテルはあり、街灯・コンビニ・人家・テレビなどは皆無で、到着早々少し文明と離れた場所に来てしまった・・・と感じてしまいました。
ホテルのベッドルームとキッチンで働く吉田さん
そして、仕事も四苦八苦の連続でした。シェフから何を指示されたのかも理解できないことはしょっちゅうありました。職場に日本人はいました。ですが、キッチンではEnglish Onlyのルールだったので、どうしても英語が分からない時以外は何とか「単語」を聞き取って動いていました。
しかし、やっぱり英語がうまくないので失敗の連続。そしてここは森の中。逃げられないし、閉鎖的な空間なので鬱憤が溜まりに溜まっていきました。日本にいる友達や両親に愚痴を聞いてもらう事が一番のストレス解消でした。
そんな中で私の唯一の楽しみが休みの日です。休みの日はホバートまでバスで出かけゆっくり過ごすのが大好きでした。街にはWi-Fiもあるし、スーパーマーケットもある。頑張れば和食も食べられる。こんなにも普通の暮らしに感謝したのは生まれて初めてでした。また、ホバートは港町であり非常に街並みがきれいなのです。ちょっとした散歩がとても新鮮で溜まっていたストレスが浄化されていくような、そんな気分になりました。
休日のホバート市内散策にて
タスマニアのホテルの環境が凄すぎて、ついそれ以外を綴るのを忘れそうになりますが・・・そう、タスマニアと言えば雄大な自然が広がる島であることをお伝えしたいと思います。
私が働いていた職場は大きな湖の近くにあり、晴れた日はとても美しい景色が望めます。なので、仕事に慣れてきてからはキッチンのスタッフ皆で湖に出かけたり、川に行きランチを食べたりもしました。また、タスマニアはとても空気が澄んでいるので、満点の星空と天の川を肉眼で見る事が出来ます。運が良ければオーロラも見る事が出来るのだとか。森の中の生活は本当に何もない生活でした。しかし、だからこそ自然の美しさや怖さを身をもって学び感じる事が出来たと思います。
ちなみに自然の怖さとは毒蛇や巨大な蜘蛛・ナメクジ・蛾など野生生物です。なぜか私の部屋には招待してもいないのに、蜘蛛がいつの間にか不法侵入していて、一つ屋根の下に1人と1匹の時もあれば1人と3匹で同居していた時期もありました。最初は巨大な蜘蛛にビビりまくり、一人可愛い声を挙げて怖がっていたのですが・・・。慣れとは怖いもので二か月もすれば気にしなくなりました。むしろ空腹時は蜘蛛の色と形からカニのから揚げに見えて美味しそうだなぁなんて危ない考えにもなるのです。慣れって怖い(※蜘蛛は食べていません)。
また、毒蛇はオーストラリア全土にいるのですが、一度見ただけで遭遇することはほとんどありませんでした。初めにホテルに到着した時に、スタッフから「ここの蛇はあなたを簡単に殺せるし、噛まれたらヘリコプターを呼ぶけど、天候次第では着陸できないから気を付けて」と笑って言われ肝が冷えました。
ここまで挙げた生き物は大半可愛くないのですが、ご安心ください。可愛い生物もちゃんといるのです。夜のタスマニアは動物天国なのです。夜外に出ればポッサムやワラビー・カンガルーが至る所にいて、運が良ければウォンバットにも会えてしまうのです!実際私は上記の生物には全部遭遇しました。動物園と違って柵が無いのでどんどん迫ってくるし、全力で逃げていく姿は圧巻でした。
満天の星空と野生動物と雄大な自然と
ここまでを振り返ると、森の中の環境は、英語でのコミュニケーション力を少しでも高めるきっかけとなってくれました。日本の学校では教えてくれない言い回しやボキャブラリーを学ぶことが出来たと思います。
また、仕事中の賄いはオイリーな食事が多く、和食の素晴らしさを身をもって学ぶことが出来ました。本当に和食ってすごいです!油をあまり使わず、一汁三菜のバランスの取れた食事がどれ程身体にいいか、世界的に見ても珍しいか。こうした食の大切さもワーホリ中に学んだ重要な経験の1つです。普段の何気ない生活がどれだけ有り難いことか、日々の生活では感じられない事を感じられたことは大きな収穫です。
最後になりますが、上記の通り私は様々な事を学び、その経験を皆さんへお伝えしております。もし皆さんが私と同じように、ワーホリのためにオーストラリアへ渡り、タスマニアへ行き、同じような環境で働いたとしましょう。しかし学ぶことや感じる事は、私とは全く異なると思います。
きっと「ワーキングホリデーしてよかった」と感じる人もいれば、カルチャーショックを受け言葉の壁に苦しみ「来るんじゃなかった」と感じる人もいると思います。しかし、「来るんじゃなかった」という不快感やショックも日本から出なければ感じられない事だと私は思います。自分で踏み出した一歩は、将来の自分がさらに大きな一歩を踏み出す時の糧になると思います。
こんな偉そうなことをぬけぬけと申しておりますが、これを書いている今現在も英語に、仕事探しに、飲食店でのオーダー方法に、と毎日四苦八苦しております。この前も「Take away」と言おうとして、元気に「Take off」と言ったくらい私の英語は問題だらけです。ですが、残り半年を切ったワーキングホリデー生活をできるだけ悔いなく、この記憶を一生の宝にするべく楽しみたいと思います。
文責: 人間心理学科 准教授 池田和浩 (国際交流推進委員)
湖畔にて