尚絅学院大学

国際交流エッセイ リレーエッセイ

【国際交流リレーエッセイ第45回】 変化が気づかせてくれたもの

2023/09/04

国際交流リレーエッセイ第45回目は人文社会学類の宮島未羽さんです。宮島さんは協定校、韓国培材大学に1年間の交換留学中です。

変化が気づかせてくれたもの
 

2023年2月23日。この日私は、ずっと夢見ていた韓国留学をするために成田空港に到着した。私は小学生の頃から韓国に興味を持ち、将来は韓国に関わることができる職業に就きたいと考えていた。そこで独学で韓国語の勉強を始めたが、もっと本格的に韓国語を勉強して高度な韓国語を覚えたいと思い、韓国留学を決意した。

決意をしたばかりの頃はやる気に満ち溢れ、かなり前向きな姿勢だった。しかし、初めての海外生活、初めての寮生活、初めての環境といったように、初めて経験することが想像以上に多かった。期待が高まる反面、出発日が近づくにつれ本当に自分に留学ができるのだろうかという気持ちが徐々に大きくなり、毎日不安な気持ちで過ごしていた。そしてついに出発日当日を迎えたが、まだ不安は消えないままだった。故郷を離れるのがこんなにも嫌だと思う日が来るなんて想像もつかなかった。だが、留学を決めた当初の決意を思い出し、覚悟を決めて飛行機に乗り込んだ。飛行機が韓国に到着して飛行機を降りると、目に入るもの全てに韓国語が書かれてあり、周りから聞こえる会話やお店の音楽なども韓国語で、一気に韓国に到着したという実感が沸いた。それと同時に、この先様々な困難があると思うが、一生懸命新しい土地で頑張ろうという覚悟がより一層強くなった。こうして私の韓国留学生活がスタートした。


そして韓国に到着した次の日、早速韓国語のレベル分けテストが実施された。テスト内容は、ほぼライティングのみのテストだった。ライティングが一番苦手だった私は、問題を解いている間も「書く練習をもっとするべきだった」とずっと後悔し、自分の実力のなさにとても落胆した。だが、テストを受けたことで自分の苦手な分野がはっきりと分かり、苦手な分野を集中的に韓国語の勉強をもっと頑張ろうという気持ちになることができた。培材大学の1学期は3月から始まるため、前日にオリエンテーションが行われた。そこでレベル分けテストの結果が発表された。ずっとテスト結果を不安に思っていたが、その不安は的中し私は2級という結果だった。自分が望んでいた4級のクラスに入ることができなかったうえに、3級のクラスにも入ることができず、悔しさで胸がいっぱいだった。しかし、悔やんでいても結果は変わらないと考え、むしろ2級のクラスで誰よりも多くの知識を吸収して成長しようと、悪い結果も全て前向きに捉えるようになった。日本にいた頃はこんなにも前向きに考えることがなかったため、これも環境がもたらした性格の変化なのかと自分でも驚いた。

こうして1学期が始まり、授業がスタートした。授業が始まると、最初に先生から「2級のクラスの中で3級のクラスに入りたい人はいる?」という質問があった。この質問をされたとき、真っ先に3級のクラスに入りたいと思ったが、ここで手を挙げたら目立ってしまうのではないかと周りの視線が気になった。もし3級のクラスに入ることができても、自分は授業にちゃんとついていけるのか不安になり、躊躇してしまった。しかし、韓国語を勉強しに韓国に来ているのに、恥ずかしいという思いや、できないかもしれないという不安で諦めていては、韓国に来ている意味がなくなると感じ、消極的な考えをやめてクラスの移動を志願した。その時、「普段あまり挑戦をしない自分が積極的に挑戦するなんて…」とレベル分けテストのときに感じたような性格の変化をまたも感じ、自分がどんどん成長しているようで嬉しい気持ちにもなった。その後、クラスを移動するためのテストが行われたが、無事テストに合格し3級のクラスに入ることができた。その際、恥ずかしさや不安を捨て、一歩踏み出して挑戦することの大切さを強く実感した。


また他にも、異文化の土地で過ごし様々な経験をしてきた中で、自分の性格や考え方の変化に気づくことができた。例えば文化面でのマナーの違いについて。実際に生活中にマナーの違いを体験した時、やはり最初は抵抗感があった。しかし自分の立場を考えた時、留学生として韓国に来ている自分が韓国のマナーを学び、良く知ることは当然のことと思い、積極的に受け入れるようになった。むしろ日本との違いが不思議で面白く感じ、異文化を楽しむようにもなった。文化だけでなく対人関係の面では、日本ではよくある遠回しの表現を使った際、相手には逆の意味で捉えられてしまったり、和を乱さないようにじっとしていると、意見を言って欲しいと要求されたりすることが多かった。「国が変わるとコミュニケーションスタイルがこんなにも変わるのか」と驚き、最初は戸惑いを隠せなかった。だが、これも異文化に直接触れているからこそ感じることができた貴重な感情だと思い、この感情さえも留学の思い出の1つにしたいと思った。このように、異文化体験や人との交流をきっかけに感じる新たな感情や考え方は、とても新鮮で刺激的なものだった。


留学はまだ全て終わったわけではないが、前期だけでも今まで述べてきたように自分の中では沢山の変化があった。この変化を実感することができたおかげで、韓国語を勉強し始めた頃に感じた異文化を学ぶことの面白さにまた気づくことができ、嬉しいと思う気持ちに加えて「ありがとう」という感謝も感じた。この気持ちを大切に後期も頑張っていこうと思う。


人文社会学類2年 宮島未羽