尚絅学院大学

学校教育学類 お知らせ

【学校教育学類】 「子どもを主語にする」学校から学んだこと ―映画「みんなの学校」を通して― (能田)

2022/03/29

 ドキュメンタリー映画、「みんなの学校」をご存知でしょうか。大阪市立大空小学校を舞台に、1年にわたる取材に基づいた教育ドキュメントの傑作であり、丁寧に子ども一人ひとりに関わる教職員と地域の方々や、子ども同士の関わりあいや成長が描かれています。

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 大阪市立大空小学校。大阪市住吉区にある公立小学校。
2012年度の児童数・約220人のうち、特別支援の対象となる数は30人を超えていたが(通常学級数6・特別支援学級7)、
すべての子供たちが同じ教室で学ぶ。
教職員は通常のルールに沿って加配されているが、地域の住民や学生のボランティアだけでなく、
保護者らの支援も積極的に受け入れた「地域に開かれた学校」として、多くの大人たちで見守れる体制を作っている。
学校の理念は「すべての子供の学習権を保障する学校をつくる」であり、不登校はゼロ。
唯一のルールとして“自分がされていやなことは人にしない 言わない”という「たったひとつの約束」があり、
子供たちはこの約束を破ると“やり直す”ために、やり直しの部屋(校長室)へとやってくる。
テレビ版「みんなの学校」の放送後には全国各地から、支援を必要とする子どもたちが数多く、校区内へと引っ越している。
(公式HPより引用)
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 3月初旬、JFA東北支部イベント「映画 『みんなの学校』から学ぶ『みんなの社会』」での上映会に、能田研究室ゼミ生(3年生)の希望者が参加しました。上映後にはリモートで初代校長・木村泰子先生によるトークセッションが行われ、映画に登場する子どもが「自分が大切にされたからこそ、今度は自分が周りを尊重したい大切にしたい」と言っていることなど、その後の成長についても教えてくださいました。最後には学生に対しても「これからの希望やね」と語り掛けてくださり、大変有難い時間となりました。以下、参加した学生の感想を一部、紹介致します。

3年 C.Mくん
 映画「みんなの学校」を視聴し、まさに「社会に開かれた教育課程」の姿であるとしみじみと感じました。私は子どもたちの様子や成長過程に注目していました。ある児童が暴力を振るってしまったあと、校長先生と語らいながら、繰り返さないことを誓い、「2分の1成人式」でもそのことを自分の言葉で懸命に発表し、成長しようとする姿は、涙なしには観られませんでした。学校で「子どもを主語にする」ことが何より大切であると思いました。


3年生 O.Yさん
 ゼミでの学習や教育実習校の講話で学んだ「チーム」の大切さについて、今回の映画を通して本当のメリットを具体的にイメージすることが出来ました。「責任を薄めるためのチームではない。チームでいれば1人の子どもをみんなで褒められる」という考え方や、先生方が転校生について「会ってみないと分からないものね」と、子どもについて常に先入観を持つことなく受け入れようとしている姿からも学ばせて頂きました。

3年生 I.Fさん
 教員の仕事は、褒められる授業をすることではなく、人と人(子ども)同士をつなぐことである、という言葉が印象的でした。公立の学校の最上位の目的は「学びの保障」であり、子どもの命を担任1人だけで守り切ることは出来ないからこそ、チームで立ち向かい、「全ての子どもたちが安心してありのままの姿をさらけ出せ、子どもが自分の言葉で語り、納得できる学校」を目指すことが大切であることを学ぶことができました。


 また、木村先生は「コロナ禍でこれまで蓋をしていたけれど露わになった差別と排除があり、そして世界では戦争が起こっているからこそ、何より大切なのは命であることに気付かされている。多くの子どもが自らを責め、責任を押し付けられてしまうことのおかしさにきちんと向き合い、いまだからこそ学校が「やり直し」をしていかないといけない」という趣旨のことを仰られておりました。大切な課題・問いとして受け止め、戦禍やパンデミックに晒される世界で、改めて学校の在り方や子どもとのかかわりについて、ゼミの中でも皆で議論をしていきたいと思います。
 

(公式HPより引用)

(公式HPより引用)

引用
「みんなの学校公式」HP:イントロダクション
 http://minna-movie.jp/intro.php
「みんなの学校」公式HP:大空小学校のみんな
 http://minna-movie.jp/school.php