尚絅学院大学

学校教育学類 お知らせ

【学校教育学類】 あまんきみこ「白いぼうし」と”たけのたけお”(田村)

2021/07/19

田村 嘉勝
 

 私の友人に宮川健郎(たけお)さんという人がいます。しばらく宮城教育大学の先生をなさっていて、その後、明星大学、武蔵野大学に移られました。毎年12月、仙台で学会があるとおいでになり、年の瀬の仙台の夜を二人で闊歩するのが恒例でした。

 その宮川さんは、児童文学者の宮川ひろさんの御子息です。ひろさんは多くの著作を世に出され、たくさんの子どもたちに夢を持たせ、本を読むことの楽しさを示唆してくださいました。

 宮川ひろさんが逝去されたのは2019年1月のことです。通夜が東京・五反田であり、私も出席しました。斎場には「供花御芳名」が紹介され、そこには「あまんきみこ」さんの名も記されていました。小学校国語教科書に掲載の「ちいちゃんのかげおくり」「白いぼうし」などの作者です。「ひろ」さんと「あまん」さんとは児童文学誌「びわの実学校」時代からの長い付き合いだったそうです。通夜後の簡単な会食の席上、私はご挨拶を兼ねてあまんさんとちょっとした会話を持たせてもらいました。以前からの印象で、あまんさんは偉ぶることもなく、気さくでややお年を召された明るい女性です。

 ところで、「白いぼうし」に登場する男の子「たけのたけお」の名前の由来ですが、宮川健郎さんの話によると、彼が名前のモデルなんだそうです。作品に登場する男の子の命名について、ひろさんとあまんさんが電話で話されている様子を健郎さんが聞いていたとかで、結果、「たけお」は「健郎」がヒントになったということです。私は、本当かなと疑念を抱きつつも、本人が何度も力説するので、「まあ、そうか」と一応納得していますが、、、。あまんさんにはまだ確認していませんけれども。

 担当する「児童文学論」「国語科教育法」の授業で「あまんきみこ」を取り上げる時、いつも「たけのたけお」の話をわずかですが学生の皆さんに話します。現4年生で、この作家を卒論で調べているゼミ生がいます。どのような卒論を書いてくれるか楽しみにしています。

 最後に、宮川健郎さん、ごめんなさい。内輪の話を暴露して。お詫びに今度、年の瀬の仙台で食事を御馳走するから。