【学校教育学類】 教育臨床活動について(小池)
2020/12/19
本年後期の私の教育臨床活動を紹介します。(小池 敏英)
現在、特別支援教育の現場では、多様な教育的ニーズに対する支援が求められています。尚絅学院大では、特別支援教育に関する授業を受講し、その知識を基に、教育臨床活動を行うことを通して、教育的支援を行う力量形成を目指しています。
ここでは、教育臨床活動として、遠隔学習支援を中心にご紹介します。宮崎県や大阪府の学習支援を行っているNPO法人と研究協定を結び、13名の児童を対象に支援しています。対象の児童は読み書きの苦手を強く持つ子どもです。子ども達の学習指導の中で、尚絅学院大のチームは、読み書き支援を30分間、担当します。
児童の読み書きの力について、アセスメントを行うことで、評価し、教材をそろえることができます。読み書きの力のアセスメントは、小池研究室の研究の中で開発してきました。このアセスメントは、東京都教育委員会からの委託研究で開発したものです(図1)(次のサイトからダウンロードできます。https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/document/special_needs_education/guideline.html)。このようなマニュアルを理解し、指導に使うことができるよう、教育臨床の力を育てます。
図1
遠隔学習支援の流れを示します(図2)。遠隔学習支援では、音韻抽出の指導、漢字の読み書きの指導、読解の指導を行っています。支援を通して、授業で学んだ知識を確認し、学習支援の手続きを学びます。研修会を、月2回、ZOOMにより行っています。
図2
遠隔学習支援の日程を示します。(図3)。ZOOMによる指導ですので、比較的、夕方に指導が集中します。現在、2年生を中心として14名の学生が、支援に参加しています。一人の子どもに、学生2人のチームで支援しています。
図3
遠隔学習支援では、教材を、PCアプリで呈示します。図4は、ZOOMの画面を示しています。画面の右上に、参加している子どもや学生の姿が小さく見えます。この画面を子どもと大学生が共有して、指導を行います。PCアプリは、研究室で自作したものです。学習した結果は、PCにデジタルデータとして格納されます。研修会で学習手続きについて協議し、その結果を基に、PCアプリを工夫していきます。学習支援する中で、PCの操作やデジタルデータの扱いに習熟し、ICT技能を習得します。
図4
また、遠隔学習支援に参加している大学2年生の感想も紹介しておきたいと思います。
学生A
「非対面で本当に上手くいくのだろうか」と疑い、不安に思いつつ始めた遠隔学習支援ですが、非対面だからこそ出来るIT機器を用いた活動を通じて子どもに寄り添った対応や教員に求められるスキルについて学ぶことが出来ました。教員は子どもと共に学び続ける職業、本当にその言葉通りだと感じています。」
学生B
「遠隔学習支援は、実際には関わることが難しい場所にいる様々な実態の子ども達を支援する事ができ、毎時間、新たな学びがたくさんあります。支援を行う上で、学習面と共に、子ども達の集中力や意欲を持続させるための関わり方について学ぶことができました。また、遠隔ならではの、コミュニケーションの難しさも経験する事ができ、学生のうちから様々な体験ができた事は、教員を目指す上で、自分のスキル向上に繋がっています。」
学生C
「私は主に漢字の書きの学習を担当し、漢字を部品で分けて学習をしたり、位置情報とともに記憶させたりなど様々な工夫をしながら行っています。対象児の実態を把握し、支援方法について小池先生と相談しながら模索し、試行錯誤を重ねてより良い支援の方法について考え、実践するという経験はなかなか出来ないものだと思っています。学生のうちにこうした貴重な経験が出来ることは3年で行われる教育実習や後の教員採用試験、卒業後に現場へ出た際の大きな強みになると感じています。なにより、子どもの成長を感じた瞬間の喜びを味わう事ができるのが将来教員を目指す上での励みになっています。」