尚絅学院大学

学校教育学類 お知らせ

【学校教育学類】授業紹介「生活」:探検と創作で育む子どもの力

2025/10/29

 1年次授業「生活」では、理科や社会科の学習の導入となる内容に、学生自身が実践的に学ぶ活動を取り入れています。今回は、1年生の単元「公園探検」と、2年生の単元「動くおもちゃ作り」の授業づくりの様子を紹介します。

■公園探検で育む力とは?

 「公園探検」にはどのような教育的効果があるでしょうか。植物や昆虫との出会いも大切ですが、「空間認知能力」を高める大きな意義もあります。「空間認知能力」とは、物の位置・形・大きさ・速さ・向きなどを、素早く正確にとらえる力のことです。この能力は年齢とともに少しずつ発達し、おおよそ10歳ごろに完成するといわれています。低学年の時期から、平面でしかとらえられなかったものが徐々に立体的に見えるようになり、物の動く速さを感じ取れるようになるなど、空間認知力が発達していきます。つまり、この時期に「公園を探検する」ことは、空間認知を育む絶好の機会といえます。

 今回は近隣の「海の見える丘公園」に出かけ、子どもの目線で公園の楽しみ方を学びながら、教師の目線で配慮点について考えました。探検後の振り返りでは、公園で出会った地域の人々との関わりや、楽しかったこと、発見したことを、画像や文章でまとめる活動を行いました。その中で、表現や発表の多様な手法についても学ぶことができました。

「公園から見えるきれいな景色」

「公園から見えるきれいな景色」

○学生の気づき

〈海の見える丘公園の魅力〉

・遊具だけでなく、さまざまな健康器具が設置されている

・四季を感じられる草木!QRコード付き!音声解説付き!

〈主体的な学びを引き出すアイデア〉

・「どんな発見があった?」「この遊具のどんなところが面白い?」など、気づきや遊びを引き出す対話を大切にする

〈振り返りの時間〉

・絵や短い文章で記録し、生活科ノートや掲示物にまとめる
・問題があった場合(けんか、ルール違反など)は、学級で共有し、次の学びにつなげる

「何してあそぶ?ふしぎなサークル!」

「何してあそぶ?ふしぎなサークル!」

■動くおもちゃ作りでPDCAを学ぶ

 グループで「動くおもちゃ作り」に取り組みました。学生たちは、学習のまとめとして開催する「おもちゃパーティー」に向け、子どもが夢中になる“動く仕掛け”をテーマに試行錯誤しながら製作を進めました。

 はじめは、身近な材料で作ったおもちゃが思うように動かず苦戦する場面もありましたが、原因を考え、改良を重ねる中で納得のいく作品を完成させました。試作(Plan)→実践(Do)→検証(Check)→再挑戦(Act)のプロセスを自然に体験しながら、授業づくりにも通じる「課題解決力」と「改善の視点」を鍛えることができたようです。完成したおもちゃ「マグネットカー」「ペットボトルシューター」「動く紙コップ人形」「紙コップロケット」は、どれも創意工夫に満ちていました。 

「マグネットカー」の大レース!

「マグネットカー」の大レース!

 当日のパーティーは隣の講義室にまで届きそうな歓声があがり、少しハラハラしましたが、大いに盛り上がり、「もっと遊びたい」という声とともに活動を終えました。体験を通して学ぶ楽しさを実感しながら、PDCAを意識した授業づくりのプロセスを理解することができたようです。この経験を2年次、3年次の模擬授業や教育実習の場面で活かしてくれることを期待しています。


○学生の感想

・「作りながら子どもの反応を想像し、工夫のポイントが見えてきた」

・「時間配分や安全面に気を配る大切さを実感した」

・「グループで協力してルールや動きを考える楽しさを味わえた」

(学校教育学類:馬場 たまき)

狙い撃ち!「ペットボトルシューター」

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