【学校教育学類】 中国古典(漢文学)へのお誘い(田中)
2020/07/27
「漢文学概論」「漢文学Ⅰ(文学)」「漢文学Ⅱ(思想)」などの漢文系科目を担当している田中和夫です。中学校国語の免許を取得しようとする人はどれかを履修することになります。
日本人は古くから多くのことを中国から学んできました。その影響は、言葉はもとより、社会のさまざまな分野、文化の根底的な所にまで及んでいると言ってもいいでしょう。それが明治以降はひたすら西欧文化・文明をもとに据えて国造りをして今日に及んでいるため、日常の生活において中国古典(文学)の姿を見ることは稀になってきています。
言うまでもなく中国の文章は古代から現在まで全て漢字のみで記されています。漢字の羅列を見ただけで、敬遠しようと思うのも日本人としてはやむを得ないことかも知れません。しかし、ここには一体何が書かれているのだろうかと、ふと興味をかき立てられることがあれば、既にあなたは中国古典への扉を開け始めたといえるでしょう。中国語を母語とする田 原先生は日本語による詩集も出しておられますが、「中国語は硬の中に軟がある。…。日本語は軟の中に硬がある。…」と述べられています(『田原詩集』<石の記憶>あとがき)。難しそうに見える漢文も、その文章の仕組みを学びつつ読んでみれば、さほど違和感なくその世界に入っていくことが出来ることに気づかされるはずです。やはり文化的に長いつきあいがあるためかと思います。血湧き肉躍る英雄達の活躍を活写した文章・思わず仰ぎ見るような崇高な文章など、豊穣の世界があなたを待っています。
次回は具体的な作品を通して、中国古典の一端をお話し致しましょう。
写真は中国での学会の折に撮ったものです。右端はマレーシアの、次は中国の、次は韓国の先生方、左端が私です。左奥に見えるのは『史記』の作者司馬遷のお墓のある祀廟です(韓城の地)。もう1枚は、『史記』の四面楚歌の場面のところです。