【学校教育学類】景観を通して生活とまちを学ぶ
2025/05/27
今年度、人文社会学類から学校教育学類へ異動してまいりました馬場です。「家庭科教育法」や「生活」などの授業を担当しています。大学時代は教育学部で家庭科の教員免許を取得し、ゼミでは住居学講座に所属していました。ゼミ活動で、地域のさまざまなまちづくりの現場に参加する中で、阪神・淡路大震災後のボランティア活動は、進路を考える大きな転機となりました。町の再生を目指す人々との話し合いを通じて、景観や住環境が私たちの生活に深く関わっていることを実感し、研究の道へ進むきっかけとなりました。
私の専門は、住環境教育や景観教育です。これまで、NPO団体の仲間たちとともに、小学校の総合学習や公民館活動の一環として、まち歩きやまちのデザイン学習を行ってきました。一般に「景観」というと、美しい風景や景色を思い浮かべがちですが、子どもたちにとっての景観は少し違います。
たとえば、まち探検の中で「好きな景観」を撮影してもらうと、「いつも行く駄菓子屋さんと看板犬」や「お茶の香りがするお店」、「おいしそうな実がなる木」など、五感を通して感じ取った“生活の景観”が集まります。一方で「きらいな景観」には、「植樹升に捨てられたごみ袋」や「うっそうとした空き家」、「壊れたままの遊歩道のタイル」など、こちらもまた人々の暮らしから生まれた景観が含まれています。大人も子どもも、快適に暮らしたいという思いは同じであり、だからこそ、景観は誰もが関わることが必要な身近なテーマだと考えています。
私のゼミでは、「人を楽しませる景観」や「おもてなしの景観」をテーマに、地域に新しい価値を生み出す取り組みに挑戦しています。2024年度には、花鉢の寄せ植えを制作し、大学のエントランスに設置する「寄せ植えコンテスト」を実施しました。あわせてアンケート調査を行い、まちに彩りを与える“好ましい花の景観”について考察を深めました。
また、10月には蔵の町並みで知られる村田町の「布袋まつり」に参加し、空き蔵を活用して昔の遊びやクラフトを体験できるイベントを開催しました。地域の歴史や文化を体感しながら、「蔵の町並み景観の活用」について考える貴重な機会となりました。
2025年度は、尚絅学院大学と新たに連携協力を結んだ長町地区にて、「長町商店街の景観」をテーマにした学習活動を予定しています。みなさんもぜひ一緒に、町の景観を「つくる」「まもる」「はぐくむ」活動に参加してみませんか?
(学校教育学類:馬場 たまき)
-
花で彩るおもてなし~寄せ植えコンテスト~
-
蔵を活用した「ちょうちんづくり」