【学校教育学類】校長先生は、いつ教師になろうと決めたのか
2024/10/07
学校で最も長く教師をやっていた方は誰かと問われたときに、多くの方が頭に浮かべるのは、校長先生ではないでしょうか。実際には、さらに年上の先生もおられるでしょうが、学校でのご様子から、そう見られていることが多いように思います。
およそ30年以上、教職生活を過ごしてきた校長先生はいつ頃、教師になろうと決めたのでしょうか。
「この仕事を目指そうと思うきっかけになった先生は、小学4年生の時の先生で、馬面なので馬先生とみんな呼んでた方です。その頃は、放課後とかもけっこう自由な時間があったんだと思うんですけども、毎日長縄やってました。それが楽しくて楽しくて。駄目なことをした時には厳しい先生でしたけれども。」(A校長)
小学校、中学校、高校時代に出会った教師に憧れたことが、めざそうと思ったきっかけとなった方がいる一方で、次のような方もおられます。
「何かを調べたり、調べたことを人に教えたり伝えたりっていうことが嫌いではないなっていうところから、まああんまり積極的な選択ではないんだけど、地元にいて入学が可能な、自分が嫌でもないところへ行こうかなっていう感じですよね。」(B校長)
「教員をすごく望んだわけでもない。絶対教員になりたいと思ったわけでもないですけど、でも嫌ではなかった。入ってからでも、もし駄目だったら別の方法(就職とか専門学校とか)も考えてもいいのかなっていう程度で入学したのです。」(C校長)
最初から、明確に教師になろうと考えていた校長先生ばかりではありません。大学に入学前後に、迷っていた方もいらっしゃいます。教育実習をきっかけに教師になろうと決めた方も多いのですが、すぐには教員採用試験を受けず、別の仕事に就いてから教師になった方もおられます。
教師になろうとした動機一つをとってみても、教育の営みは複雑で多様です。長らく教職人生を歩んでこられた校長先生でさえ、「霧の中」にいた時期があるのです。
高校生のみなさん、最初から「教師になる」という明確な意識を持って大学に入学することは素晴らしいことです。それと同じくらい、将来の自分の姿を明確には描けずに、思い悩むことも大事な経験です。教師をめざすことに早い、遅いは関係ありません。
教育を通じて、人の生き方や社会の組み立て方について共に学びませんか?
(学校教育学類:五十嵐 誓)