尚絅学院大学

学校教育学類 お知らせ

【学校教育学類】 「自分の受けた教育」の外へ(新任教員・梶川萌)

2023/05/29

 2023年の4月に尚絅学院大学に着任した梶川萌です。専門分野は教育思想・教育哲学の研究です。

 担当する授業は、「道徳教育の理論と方法」と「生徒指導・進路指導の理論と方法」、そして「教育人間学」といったタイトルです。「教育」以外のキーワードは、道徳、進路、人間・・・誰もがそれぞれの考えをもっていて、なんとなくわかっているものですよね。ところが説明するのは難しく、言葉にすると何かが抜け落ちる気がしてきませんか。

 教育を受けた経験(被教育経験)があることで、私たちは誰でも教育についての考えを持っています。もちろん、「教える」ことの専門家である教師になるためにはそれだけではまだ足りません。道徳・進路・人間というキーワードにも、似たことが言えます。誰もがなんらかのかたちで、道徳的に振る舞い、進路を選び、人間として生きているけれど、その専門家ではありません。こうしたことを深く考え、「教える」ことができるようになるため、授業では一人ひとりの被教育経験を手がかりに、次のような問いを深掘りしていきます。

「道徳的価値を教えることはできる?できるとしても、するべきなのか?」
「個人は社会に馴染んでいくべきなのか?それとも社会を作り変えるべきなのか?」
「子どもってなんだろう?大人になるってどういうこと?人が教師になるとき、何が起こる?」

 こうした問いは哲学的なもので、学生から新たな問いが飛び出すこともあります。根本的な問いに向き合うことは楽しく、大学の授業はその機会です。少人数教育のなかで、一人ひとりの経験と言葉を手がかりに、ともに深い問いへ進むこと。そんな授業をめざして努めていきます。