【子ども学類】教育の「当たり前」を見直す
2023/10/30
子ども学類の石井です。今回は、私の専門分野に関する内容をご紹介したいと思います。私の専門分野は教育学の中でも教育の制度や政策についてです。
皆さんは、「制度」と聞くとどのようなことを思い浮かべるでしょうか?法律や規則で決められている決まりや仕組みといった、国や行政によって厳密に定められたルールを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
しかし社会科学においては、上記のように明文化されたルールや規則以外にも、人々がいつのまにか「当たり前」と思い込み、暗黙のうちに従っている慣習や規範のことも「制度」と捉えています。
具体例を挙げましょう。皆さんは小学生の頃、ランドセルを背負って通学していたと思います。では、「小学生はランドセルで通学しなくてはならない」という法律やルールはあるのでしょうか?実は、小学生の通学バッグをランドセルに指定している自治体はほとんどなく、ランドセルの使用は義務ではありません。
つまり「みんながそうしているから」「そういうものだから」と多くの人が選択することで、ランドセルで通うということがいつの間にか「当たり前」のこととなっているのです。
「当たり前」だからと見過ごしてきたことに実は明確なルールはないのだと気づくと、「変えてもいいのかも」と思えてきます。毎年4月に大きなランドセルを背負った新入生の姿は微笑ましく、日本の風物詩ともいえるものです。しかし、子ども一人一人が個性や発達に合わせた自由なカバンで通学というスタイルでも良いのではないでしょうか。
教育や保育の世界には、いつの間にか「当たり前」になってしまっていることがたくさんあります。授業や研究を通して、教育・保育の世界の「当たり前」を問い直し、もっと柔軟で自由な教育のあり方を考えていきたいと考えています。
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ランドセル(男児)
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ランドセル(女児)