【子ども学類】子どもたちのかたわらで学ぶ
2023/07/18
尚絅学院大学には同じ校地内に附属幼稚園があります。開園は1956年4月で、当時の短期大学保育科学生の実習機関として設置されました。現在も保育者を養成する子ども学類の学生たちが見学に行ったり、実習に行ったりしています。
幼稚園の保育室は長い廊下でつながっています。玄関を入ると3歳児の保育室があり、遊戯室(ホール)をはさんで、4歳児の保育室、5歳児の保育室へと続いていきます。この廊下は子どもたちにとって成長の道のりを意味することを教えられたエピソードがあります。
保育室の前には各クラスの子どもたちのロッカーが並んでいます。ある時、たくさん遊んで汗をかいた4歳児クラスのAくんが、自分のロッカーの前で着替えをしていました。脱いだシャツを入れるビニール袋を自分で開いていることに感心した私(当時は園長を兼務)が、「自分でできるんだね」と思わずつぶやくと、Aくんはクラスが替わった(3歳児クラスから4歳児クラスへと進級した)から前はできなかったことができるようになったと話してくれました。それから5歳児クラスの廊下を指さして、「あっちまで行ったらできるようになるのかな」と言いました。5歳児クラスになったら今はまだできないこともできるようになるのかと、未来の自分に思いをはせていることに感動しました。
先日、子ども学類の1年生に「保育の心理学」の授業をしていてこのエピソードを思い出しました。5歳頃、子どもの世界のとらえ方に大きな変化が生じ、物事を「前-今」のように2つの対比的な関係としてではなく、「前―今-後」のように3次元で理解できるようになるという内容を扱っていたときのことです。そこで、学生たちにもこのエピソードを紹介しました。
附属幼稚園の子どもたちは学生にも教員にも多くの学びをもたらしてくれます。子どもたちがすぐそばで遊び、生活し、育っている環境を生かして、保育者養成教育をより豊かなものにしていきたいと思います。
文責:杉山 弘子