SDGs×里山
尚絅学院では、敷地内の森林「尚絅の森」を整備するプロジェクトを2016年にスタートさせました。これは、放置されて荒れてしまい、生態系のバランスが崩れたり、土砂災害を引き起こすなどの問題が発生している里山を再生しようという取り組みで、SDGsの15「陸の豊かさも守ろう」や13「気候変動に具体的な対策を」にかかわるものです。
このプロジェクトは、地域の人はもちろん、様々な人や団体の協力があって成り立っています。その協力団体の一つである「仙台市森林アドバイザーの会」は、どのような団体で、どのような活動をしているのでしょうか?
今野 正道 氏 プロフィール
仙台市森林アドバイザーの会所属。
定年退職後、里山の暮らしや林業に関心を持っていたこともあり、養成講座を受け当会に入会、チェーンソーや刈払機を持って里山の整備に通うこと約10年が経過。最近は樹上伐採の講習を受け仕事の幅が少し広がったが、森林作業は奥深くまだまだ覚えることが沢山ありそう。
当会は森林ボランティアを養成する、仙台市の「森林アドバイザー養成講座」の修了生で結成し、現在100名の会員で活動を行っています。講座では森林・林業の講義、刈払機やチェーンソーによる森林整備の実務などを学びます。
活動は仙台市に点在する保存緑地や市有林、泉ヶ岳周辺を中心にして里山整備、植樹・育樹、利活用や、自然観察会、里山の材料でクラフト作りなどを精力的に行っています。
里山で活動を行うにあたり第一に「安全の確保」が重要です。「尚絅の森」には長期間の放置による枯損木以外に、近年多発しているマツ枯れ、ナラ枯れによる立ち枯れが随所にあり、少しの風でも枝落ちや倒木の危険があります。チェーンソーなどを使用するので、里山再生プロジェクトの活動と日を違えて毎月危険な木の除去を行っています。
その他危険と思われる急斜面などで刈払い等を実施しています。
「尚絅の森」里山再生プロジェクトの取組みを応援するため、伐採や機械力を使った作業などの助勢を行っています。
- 北側頂部に予定していた見晴台の景観を確保するため、支障となるマツ等を伐採整理しました
- 高さが10m前後のスギを3本伐採、製材所で板に加工した後、プロジェクト活動でテーブルと椅子の製作をしました
他には、仙台市などが主催する自然観察会や自然学習会、森林体験会などで、小学生や一般市民の案内指導を行っています。
また森林整備で除去した蔓(ツル)、木の枝、拾い集めた松ぼっくりや木の実などを利用してリース作りや木工工作を行っています。
2011年に発生した東日本大震災では七ヶ浜町の海岸林も壊滅状態でした。地元からの要請を受け、なぎ倒された松林の整理を8月の暑いさなか10日間にわたり延べ185人が参加して行いました。
当会では7年前より荒浜地区の海岸防災林跡2ヶ所(0.28ha)に抵抗性クロマツ他1,360本を植樹し、定期的に育樹を行っています。また県、市が主催する海岸林再生の活動に積極的に参加、白砂青松の浜が戻ることを目指して活動を続けています。
※抵抗性クロマツ:マツノザイセンチュウ(松くい虫)に強い抵抗性のあるクロマツのこと。マツ枯れを起こしにくい。