東日本大震災後のコミュニティの生活再建プロセスにみる課題解決の方法
関連するSDGs
- 研究
- 総合人間科学系 人文部門
- 担当教員
- 久慈 るみ子
- 対象地域
- 石巻市
- 連携団体
- 日本家政学会、石巻専修大学
- 研究時期
- 2012〜2016年
研究目標
本研究では、衣食住や人間関係といった生活全体を総合的に把握する学問の特長を生かし、生活の諸問題を具体的に把握しそれらの相互関連の分析を軸に生活を総合的に捉え、また実践学としての家政学の特徴をいかして被災者への支援を行いながら、生活再建のプロセスを明らかにする。
研究概要
石巻市の開成団地、南境団地の仮設住宅の居住者を対象に、住民の要望にそった調理教室や手芸教室、子育て支援、高齢者支援などの生活支援活動を行って、住民一人一人に関わりながら、参加者にインタビュー調査を実施して生活課題を把握し、その解決の道筋を被災者と共に考え活動しながら繰り返しインタビュー調査を行うアクションリサーチ法で調査を行うことによって、生活再建プロセスを把握する。
対象者は50人程度とし、個々の生活状況による生活再建プロセスの相違を明らかにする。
現在居住する仮設住宅から二年後には復興住宅への移転が予定されていることから、仮設住宅居住期、住民が復興住宅へ徐々に移行していく時期、復興住宅に移転後の三つのステージにわけて、継続的に調査することによって、生活課題の変化の状況を把握する。
学会での発表、地元での報告会の他に上記のような本ならびにブックレットの制作を行いました。
研究成果及び今後の展開
ここでは、成果の一つ「食」に関するものを報告する。
地域の特産物や食文化の伝承による生活支援:石巻市は、水産物が豊富であり、川や海を利用した物品の運搬により経済的に豊かであった。しかし、高齢化や人口の減少などからこれらの産業を支えていくことが震災前から課題であった。
そこで、産業の活性化の一助として、被災者,特産物や料理に関わっている食の専門家に食に関する事柄について聞き取り調査し、石巻の特産物や食文化を整理して、石巻市民や海外を含む観光客に石巻市の良さを知ってもらうことを目的とした。これを教育の教材、観光への情報発信資料、生産物への流通促進資料として、本の出版を行った。この他に2冊の本の出版を行っている。(文部科学省科学研究費)