尚絅学院大学

尚絅学院大学開学20周年
リレーエッセイ

10月のリレーエッセイ:大学の宗教活動 聖歌隊とYMCAの活動について

2023/10/12

10月末はハロウィンですね。毎年、附属幼稚園の園児たちが手作りの仮装を身にまとい大学構内を訪れます。学長室や事務室、中庭などでいろいろないたずらを画策して大人たちやボランティアの学生を困らせ、お菓子をねだる微笑ましい光景が繰り広げられます。

さて、尚絅学院大学の宗教教育では、建学の精神の具現化のために、週2回行われる礼拝のほか、音楽礼拝や英語礼拝、外部の講師による特別礼拝を行っています。12月にはクリスマスツリー点灯式や大学クリスマス礼拝、3月には卒業礼拝が行われます。宗教部付の主な課外活動団体として、2013年設立の聖歌隊、2016年設立のYMCAがあり、活発に活動をおこなっています。
今回は、聖歌隊メンバーであった山本咲さん(仙台聖泉キリスト教会牧師)、YMCAメンバーであった青田汐里さんから、エッセイを寄稿いただきましたので掲載いたします。
 

~開学20周年リレーエッセイ作成記念委員会~
 

 

 

  「豊かなつながり」

卒業生/山本 咲(仙台聖泉キリスト教会牧師)


尚絅学院大学を卒業して6年を迎えたこの年、エッセイを執筆するにあたりその思い出を振り返る時をもちました。
私はクリスチャン家庭に生まれ、「神様はいる」ということを疑うこともなく育ちました。しかし、日本の中でクリスチャンは3%に満たないと言われる中、宗教を理由に否定されるということも少なくはありませんでした。そんな私にとって同じキリスト教を土台としている大学は存在そのものが魅力的で、期待を胸に、入学をしました。当たり前のように礼拝が構内で行われ、授業でキリスト教が取り上げられ、式典があれば、その中でお祈りが行われる。初めての人にとってもその内容は驚きの連続かもしれませんが、大学内でそのようなことが行われているという意味では、クリスチャンである私にとっても驚きと一面の喜びであふれていました。しかし、私がそこで直面するのはすべての人がそれをよいことだとは思っていないという現実です。そもそも宗教自体が根付いていない日本の文化の中で育った人にとって目の前に突き付けられる礼拝や、聖書の教えというのはなかなか受け入れがたいもので、面白おかしく話して盛り上がっている様子も見られたのです。

私は聖歌隊にも所属していました。メンバーは讃美歌を練習し、礼拝で歌うという役割を任されていました。ガウンを着ていかにも「聖歌隊」というような恰好をして前に出れば、初めのころはそれを見る学生たちが笑いながらこそこそと話すような姿も見られたのです。「あぁいくらキリスト教を土台として様々なことを行っていても周りの反応はそう変わらない」ということを私はこの時、実感したのです。このままで話が終わってしまえば、記事を書く意味はありません。私はこの大学で過ごす中で、その変化を目の当たりにしました。大学生活の間、少しずつ学生たちはキリスト教に触れていきます。その中で少なからず影響を受け、当たり前という価値観が変化していくのです。「聖歌隊はガウンを着るもの」となり、4年生にもなれば目新しいものではなくなります。それは、私たちの視野を広げることと同じです。宗教に対しての価値観が変わるだけでなく、それを信じている人に対する考え方も変わります。広くみれば、他者を受け入れる心を養っているということなのです。聖書の教え自体が他者を愛することを勧めています。しかし、学生一人一人がその教えを信じて他者を受け入れようとしているのではもちろんありません。ただ、そのような多様性あふれる環境にいる中で、自分とは違う考えの人もいるのだと関わり、知って、学んでいくのです。そして、自然にその人を構成している要素を個性として受け入れられるようになります。尚絅学院大学は多くの人が「共に生きる」社会をなお目指し続けています。この大学を巣立った者たちが、社会にあって、潤滑油のようにきしみそうな人間関係をやわらげ、繋げていけることを願っているのでしょう。その先に、多くの人が力を発揮し、よりよきものを築き上げていく社会が実現すると信じているからです。


私はこの大学で惜しみなくキリスト教を伝えるという働きをさせていただきました。聖歌隊もそうですが、教会のハンドベルグループが礼拝の時間に演奏させていただいたこともありました。そのこともあってか宗教部のハンドベルクワイヤが設立された際には講師として声をかけていただき、4年間務めさせていただきました。在学中も、卒業してからも、つながりはなくなっていません。そのように開学20周年を迎えられた尚絅学院大学が、なお社会において人と人とを結び付ける働きを担う学生を育む場として用いられることを願います。



      

  「大学生活の思い出」

                                                                           卒業生/青田 汐里

 

大学を卒業してから5年が経過し、このようなエッセイを書かせていただけると思っていなかったので、感謝の気持ちでいっぱいです。

 

大学生活で一番得たものは友達です。全員大学へ入学して知り合った人ばかりでしたが、サークル活動やYMCAの活動、また日々の授業の活動の中で、支えられていくうちにいい友達に囲まれて幸せと感じるようになりました。大学二年生の時には、仙台駅での募金活動や宗教活動の一環としてYMCAのキャンプに参加しました。活動を通して、多くの方と協力して活動できたことは、大切な思い出になっています。また、友達と参加したハナモモ通信という新聞を作る活動に参加して、新聞社の方や様々な活動をする人とインタビューをして、貴重な経験をすることができました。そして、大学を卒業してから今までも、いまだに連絡をたまに取っているので、仕事で悩んだ時やつらいときには話を聞いてもらって、心の支えになっています。

 

また、最近では1年ほど前からフードバンクのボランティア活動に参加して、自分が大学生の時にはなかった活動が今たくさん始められているのを知り、多くの学生が参加していることに気づき、大学を卒業してもなお多くの刺激をもらっています。

私がボランティアを始めたきっかけは、社会人になり、自分の過去や弱さなど、自分だけの価値観だけで考え続けるのではなく、周りを見て判断したいと思ったからです。そのためには、困っている人の力になれるように行動したり、食料を届けたり実際に行動しようと考えました。結果的には、職場でも毎日勉強の連続で、日々大変ですが多くの事を勉強させていただいています。

 

私はたまに大学に遊びに来ていますが、私が当たり前だと思っていたことが今の学生にとってはそうではなかったりと、よりよい形で変化をしていると感じています。様々なことがたくさんあると思いますが、学生の皆さんには今を楽しく過ごしていただきたいと思います。

 

最後になりましたが、大学の先生方や宗教主任の先生には大変お世話になりました。ありがとうございました。

20周年おめでとうございます。これからも尚絅学院大学の発展を心より祈っております。