尚絅学院大学

尚絅学院大学開学20周年
リレーエッセイ

8月のリレーエッセイ:「たのしい大学生活は自分がつくる~一人ひとりの錦と薄衣としてのつながり」(卒業生/職員 佐藤 司)

2023/08/02

2002年9月、高校の進路指導室の掲示板に貼り出されていた「指定校推薦一覧」の掲示物を眺めていると、開学予定の大学からも指定校推薦の枠。
大学の名前は、「尚絅学院大学」。
志望校を決めかねていた私は、新設大学に可能性と運命を感じて、指定校推薦の希望を先生に出すことにしました。

尚絅学院大学との出会いから20年が経ち、学生と職員という2つの視点を交えて、お話したいと思います。
 

入学した当時の学生比は、全学生1,600人中、女子1,500名、男子100名といった割合でした。
人数が少ないことで、肩身が狭く感じることもありましたが、限られた機会を積極的に掴もうと心がけることに意識が向いていきました。
その時、心に抱いていた言葉が「つまらない大学は自分がつくる、たのしい大学生活は自分がつくる」というものです。
「思い描いた大学生活はこんなはずじゃなかった」とか「この大学はつまらないな」という気持ちが湧くのは、自分自身がそうさせているのだと考え、「こんなはずじゃないと思えば、そうならないように」、「つまらないと思うようになれば、おもしろいと思うことをする」等、自分でいくらでも変えるチャンスがあると思い、行動していきました。
結果として、学内では尚絅学院大学学生会常任委員会の会長を2期務めさせていただく機会を得ました。その時には、同じ瞬間に同じ大学に通うという運命に近い偶然でつながった、すべての1,600人の友人たちと「たのしい大学生活を自分たちでつくる」ことを心掛けることにしていました。また、学外でも、プロスポーツのスポーツボランティアを始めたり、名取市内でまちづくり検討委員会の学生委員として参画するなどの経験をしたりしていました。
 

卒業後は、2年間、旅館で番頭を経験し、2009年に大学職員として、母校に帰ってきました。

大学職員として2年目の年度末、東日本大震災がありました。
当時、学内では、大学の修繕に携わる係で、学外では、私自身、被災しなかったこともあり、何かしたいという一心でいました。
友人の父が名取市災害ボランティアセンターの事務局長をしていることを知り、センター開所の翌日に訪ね、2日後から学生たちと共に、小さい大学の少ない人数でもできることとして、受付班や資材班を担う、センタースタッフを支える活動を行っていきました。
学生たちは仲間を増やし、大学としても活動を支援し、センターの閉所まで、一緒に活動してくれました。
その後、仮設住宅の支援のフェーズに入り、学生たちはボランティアチームTASKIを発足し、現在までの活躍に至っています。
私は、震災後に生まれた子どもたちが大学に入学してくる2030年に、彼ら彼女らに対し、何が語れるだろうという思いもあり、毎年3月の「3.11なとり・閖上追悼イベント」、また、昨年からは、「なとり夏まつり」の方で、ボランティアの取りまとめ等の活動を継続しています。

現在、仕事では、私自身が学生時代に、地域に育ててもらったように、学生たちが興味関心に沿って地域での学ぶ機会を創出するお手伝いをしています。
 

 

「つまらない生活は自分がつくる、たのしい生活は自分がつくる」。
皆さんにとっては、どうでしょうか。
「衣錦尚絅」は、錦の上に薄衣を掛けることで謙虚さを伝えていますが、私は「まず、錦を着ること」、転じて「何をしたい人なのか、何をたのしいと思う人なのかを持つこと」を学生たちには尚絅学の授業で伝えています。
尚絅学院大学は現在2,000人規模の大学です。「2,000人しかいない」と思えばそれまでですが、「2,000人もいる」と思えば「2,000色の輝きのある大学」と言えます。
また、開学後の卒業生の活躍についても、「10,000人弱の輝きが地域や世界中で放たれている」と言えると思います。
卒業生の活躍と言えば、私はほとんど何もできていないですが、10年近く前から、卒業生による活動を尚志祭の際などに行っていて、近年は尚絅学院同窓会大学部会として活動しています。
2014年には卒業生チームによる出店、2015年にキックオフミーティングやホームカミングブース、2016年の大学部会設立決起集会、2018年はホームカミング芋煮デーなど、健康栄養学科2期生で高校の後輩でもある濱田会長を中心に、卒業生と尚絅学院大学の新たなつながりを作り続けています。

4号館3階のロビーに、森彬先生(本学名誉教授)の作品が一枚飾られています。
無数の色で描かれているその絵画は、卒業生や在校生、教職員、尚絅に関わる様々な人がつながり、一人ひとりのそれぞれの輝きを表していると、勝手にリンクさせて考えています。
この絵画のように、卒業生の活躍に終わりはなく続き、仮に一人ひとりの活躍が小さかったとしても、つなげることで広がりを見せると共に、その活躍を在学生たちへ伝えていってほしいと願っています。


【略 歴】
現在:尚絅学院大学大学事務部交流推進課長補佐

2007年、尚絅学院大学総合人間科学部人間心理学科卒業。
2009年に学校法人尚絅学院に入職。総務課、管財課、進路就職課、政策企画室、地域実践グループ責任者、学生生活課、管財課を経て、2022年より現職。