尚絅学院大学開学20周年
リレーエッセイ
7月のリレーエッセイ:「笑顔で社会に羽ばたくように」願いを込めて (元進路就職課長 中村 節子)
2023/07/03
大学設立20周年、おめでとうございます。
私は、2003年の大学開学と同時に進路就職課に異動になり、退職まで履歴書の添削や模擬面接の指導、各種ガイダンスを実施してきました。
学生と最も接点が多い事務職員でしたので、卒業生がこのエッセイを読んで、当時を思い出してくれれば大変うれしく思います。
尚絅女学院短期大学が大学になる。事務職員としても、卒業生としても、「ついに大学になるのか」と興奮したものでした。
しかし進路就職課としては、男子学生への対応、大学生と短大生の支援レベルの違い、男子学生の求人確保と3つの課題がありました。
男子学生との距離感に悩む職員に対しては、課内研修を行うことで補っていきました。
大学生と短大生の支援レベルの違いについては、支援の手引きとして使用していた進路ガイドブックを、当初は他大学と同じ市販の四年制大学用に変更しました。しかし、これは「わかりにくい」「関東圏の情報が多すぎる」などの声があり、試行錯誤の結果、尚絅学院オリジナルの進路ガイドブックに戻しました。
最も問題だったのは、男子向け求人数の絶対的不足でした。これまでは女子対象だったため、条件に親元通勤があったり、職種においても事務職や一般職中心で、総合職や営業職の求人数は少なく、どうしたらいいか悩みました。男子求人を集めるために、これまで短大生が就職していた企業に、男子求人のお願いのパンフレットを送付しました。教員とタッグを組んで企業開拓も行いました。また、情報誌や行政主催の企業合同説明会にも積極的に参加しました。人事担当者と名刺交換をするイベントでは、他大学は長蛇の列、尚絅の列にはほんの少しで、複雑な思いをしたものでした。
就職ガイダンスの様子
2008年からのリーマンショック、2011年には東日本大震災がありました。震災時はちょうど現代社会学科・表現文化学科・生活環境学科の1期生卒業の時でした。「内定取り消しはないか」「内定した会社の被害はどうか」。次から次に入ってくる情報に、学生だけでなく職員もパニック状態でした。
震災後すぐ、比較的被害の少なかった本学の多目的ホールを会場に、他大学と共同で合同企業説明会を実施しました。関東圏の企業の参加も多く「被災地の学生を応援したい」「もし内定取り消しをされた学生がいたら、受け入れたい」と言ってくれた企業もありました。
震災後数年は、求人を求めて東京バスツアーを企画しました。4台の大型バスをチャーターし、200人の学生は夜行バスで東京へ向かいました。ロータリーの前でバスを見送り「頑張って」とみんなで手を振ったことを思い出します。
その後、復興景気があり東北の求人は徐々に増えてきました。東北で、宮城で、地元で働きたい。震災復興を自分の目で見て、地元に貢献したいという学生が増えてきました。
また、国の学生支援補助金のおかげで、相談室や多目的ホールの備品を新しくし、キャリアカウンセラーを増員し、エクセル講座をはじめ、各種無料講座を開催することができました。
みんなの努力の結果、2014年頃から徐々に内定率が向上し、「就職に強い尚絅」、We love尚絅カードの配布で「卒業生にも優しい尚絅」として雑誌に取り上げられるようにもなりました。
近年は「尚絅さん男子の割合は今どのくらいですか」「うちの会社に多くの尚絅生がいて頑張ってくれています」「尚絅生、業績良くて、表彰受けました」「勉強のため、海外研修に行ってもらっています」「今年から人事を担当しています」など、卒業生の活躍のおかげで大学の認知度は向上し、求人数も充分に集まるようになりました。
2020年から、新型コロナウィルス感染症対策のためのリモートワークが一般化し、採用試験もリモート面接という新しい時代となりました。
就職活動は、政治・経済・AI・IT・DX・SDGs・女性活躍・働き方改革・少子高齢化・気候変動・戦争、あらゆることで環境が変化します。学生たちはこれまでもこれからも、その変化を受け入れて活動をしなければならないのです。
初代校長アニー・ブゼル先生は「タレント性、個性を生かして、進みなさい」「卒業生は、尚絅の宝」と言ってくれています。
私は「自分のできる限りの努力と笑顔で明日に向かって進むこと」を自分自身に言い聞かせています。
尚絅の建学の精神「他者と共に生きる」。仕事でかかわる、お客様・同僚・上司・学生・生徒・園児。そして、家族・友人。すべての人に感謝して歩んでいきましょう。
最後に、20周年本当におめでとうございます。
これからも尚絅学院大学の卒業生の活躍と大学の発展を心より祈っております。
【略 歴】
1979年 入職
大学開学時
2003年4月 大学・女子短期大学部 企画課 配属
2007年4月~2008年10月31日 大学・女子短期大学部 進路就職課
中学校・高等学校に異動
2012年4月 大学 進路就職課 配属
2012年4月 進路就職課長補佐 任命
2014年4月 進路就職課長 任命
2021年3月 退職
2022年4月から2023年3月 就職専門監