尚絅学院大学開学20周年
リレーエッセイ
2月のリレーエッセイ:大学の地域連携活動 ボランティアチームTASKI(たすき)について
2024/01/31
本大学には、地域連携活動を担っているボランティアチームTASKI(たすき)がございます。2011.3.11東日本大震災発生時より、地元名取市を中心にボランティア活動をおこなってきた学生達の活動が認められ、2012年に大学所属団体として正式結成し、現在も活発な活動を行っております。
今回は、結成時中心メンバーとして活動された卒業生の斎美紀さんと事務職員の佐々木真理さん、現メンバーより4年生の立花和奏さんからエッセイを寄稿いただきましたのでご紹介いたします。
つなげる、つたえる、つづける
東日本大震災におけるボランティアチームTASKI(たすき)の寄り添い活動
「私にとっての東日本大震災におけるボランティアチームTASKIの活動について」
卒業生/斎 美紀(2013年人間心理学科 卒業)
大学創立20周年おめでとうございます。今回このような機会を与えていただき感謝いたします。
大学生活のなかで印象に残っていることは?と、質問されたら「ボランティア(TASKI)活動」と、私は答えます。
ボランティア団体「TASKI」は、東日本大震災が発生後に名取市社会福祉協議会が運営する「災害ボランティアセンター」での活動をきっかけに結成され、被災地や仮設住宅などで活動を行ってきました。活動のなかで今も忘れられない記憶は、仮設住宅である住民の方から「物事を一方的にすすめないでほしい」と言われたことです。この言葉は、ただ漠然と活動を行うのではなく、まずは信頼関係を築くことや対話をすること、そして相手の立場になり物事を考えることが大切なのだと痛感させられた出来事のひとつです。活動を経て、今改めて思うことは復興やボランティアに終わりはないということです。
また、TASKIの活動で大切にしている「3つのつ(つなげる・つたえる・つづける)」や「寄り添い」は、尚絅の建学の精神とも通ずるものであり、ボランティアを超えて仕事や人間関係、人生を歩んでいくなかで大切なことではないかと思います。
現在は、災害時のボランティア活動や地元のこども食堂、フードパントリーでの活動などをメインで行っております。活動を通して地域が抱える問題や復興とは何かを考えるきっかけにもなり、自身の視野も広がったと感じています。
尚絅での大学生活や活動では、教職員の皆様や同窓生、仲間達など沢山の方々が親身に寄り添ってくださり、時には支え合い、多くの困難を乗り越えることができました。在校生の皆様も尚絅での大学生活で様々なことに挑戦し、沢山の人々と出会い、そのご縁を大切にしてほしいと思います。
【略 歴】
2009年4月 尚絅学院大学総合人間科学部 人間心理学科 入学
2011年3月11日 東日本大震災発災後から名取市への被災地支援活動を開始(当時、大学2年生)
2012年 ボランティアチームTASKI立ち上げ時の中心メンバー
2013年3月 尚絅学院大学 卒業
2013年4月 株式会社 とみひろ 入職
2019年4月 尚絅学院大学地域連携交流プラザ (現職)
「現在のボランティアチームTASKIの活動について」
在学生/立花和奏(人文社会学類4年)
震災から13年が経とうとしている中、私がTASKIで活動してきた4年間はつながりを途絶えさせないこと、防災・減災に向けた活動の展開の2つをメインに活動をしてきました。
私がTASKIに入ったきっかけは、入学して直ぐコロナウイルスの影響で大学に全く登校できず、人と話す機会が減ったことで、人とのつながりを増やそうと思ったからです。自分もTASKIが行ってきた住民さんや他県の学生等たくさんの人と交流する活動をできることを楽しみにしていましたが、実際にはコロナ禍の制限が多く、オンラインで町内会長さんから当時のお話を聞いたり、他県の学生と交流したりする活動を行うことしかできませんでした。しかし、これは今までの先輩が残した人とのつながりがあったからこそ出来たことだと思っています。
町内会長さんのお話から「まちが変わっていく中で、周りから復興・復旧と言われても私たちの心は当時のままで取り残された気持ちになることがある」と聞いた事を覚えています。この”心の復興”の大切さに気がつけたのは、オンラインでも話を聞けたからだと思っています。そのような気持ちを抱える閖上住民さんに寄り添えるよう、TASKIと閖上のつながりは途絶えないように、できることを制限がある中で少しずつ取り組んできました。その甲斐もあり4年生になってから、閖上のお祭りやバスツアーなど、住民さんの温かさをより感じられる対面の活動ができるようになりました。TASKIには今後も継続してたくさんの交流を行ってほしいと思います。
もう1つ私たちは防災・減災に向けた活動を行ってきました。その中で、「当たり前が一瞬でなくなってしまうこと」を学びました。その恐怖を知る中で、日々の生活で、少しでも防災や減災に目を向けていく必要があるのではないかとTASKIのメンバーで話し合い、学生生活課の職員さんや他大学の団体の方、企業様の力を借りて、防災ワークショップや防災クイズを企画、実施しました。私たちの代では、TASKI専属の職員さんはいなかったため、自分たちが企画を練って進めていくことがとても多かったのですが、学業や生活の合間を縫って、みんなで1つ1つの企画を作り上げました。新しいTASKIの方向として、防災・減災に向けた活動を進めて、より多くの人を巻き込んでいってほしいと思います。
「ボランティアチームTASKI(たすき)の学生がつないできたもの」
事務職員/佐々木真理(経営管理部 企画課)
大学職員として、2012年から約8年間、大学の被災地支援活動を担当しました。当初は、職員として何ができるのか全くの手探りであり、震災直後から熱い思いで被災地支援を始めた学生の皆さんに、活動の一つ一つを教えてもらうところからのスタートでした。そして、当時の4年生が震災直後の活動を経験していない後輩へ活動をどうつなげば良いかを悩んでいた時に、「ボランティアチームTASKI(たすき)」が誕生しました。チーム名は、学生皆で話し合い、人から人へつなぐ駅伝の「たすき」の頭文字それぞれにT(共に)、A(歩く)、SK(尚絅)、 I(愛・自ら)と意味づけ、命名しました。その現場に立ち会えたことは喜びと感動の瞬間であり、学生たちの中に”尚絅魂”が息づいているように思えたことを今でも鮮明に憶えています。
TASKIが活動を続ける上で、これまでに時折、さまざまな壁が立ちはだかりました。学生から学生への継承、被災者の方々の生活変化に合わせた活動の見直し、「復興した」という誰かの言葉、震災から10年という目には見えない一つの節目、そして3年続いたコロナ禍など、何度も活動を閉じようとする流れが訪れました。しかし、そのたびに学生たちは、当時の被災地で住民さんより発せられた「復興ってなんだべ・・・」という一言を思い出し、常に自分たちに問いかけ、「復興はまだ終わらない」、「今だからできることがあるはず」と我慢強く乗り越え、自分ごととして寄り添う気持ちを大切に活動してきました。そんなマインドを持った尚絅生の皆さんをいつも誇りに思っています。
尚絅学院大学20年の歴史の中で、たくさんの方々に支えられながら13年受け継がれてきた”たすき”が、これからも”GOODNESS”と共に次世代へ手渡されていくことを、心より願っています。
【略 歴】
学校法人尚絅学院 経営管理部企画課 課長補佐 (現職)
1994年4月 学校法人尚絅女学院 法人事務局財務課 入職
2011年3月11日 東日本大震災発災当時、学校法人尚絅学院 法人事務局人事課
2012年6月より 尚絅学院大学エクステンションセンター課(後に連携交流課)において、2020年3月まで
大学による復興支援事業、ボランティアチームTASKI(たすき)の活動支援等を担当
左から、立花さん、佐々木さん、斎さん
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尚絅学院大学HP:ボランティアチームTASKI(たすき)の詳細については、以下のサイトをご覧ください。
●ボランティアチームTASKI(たすき)
https://www.shokei.jp/campuslife/volunteer/taski/
●【特設サイト】10年のTASUKIリレー展 ~私たちが、つなげる、つづける、つたえる~
●【活動紹介冊子】「つなげる つたえる つづける」(PDF)
https://www.shokei.jp/campuslife/volunteer/taski/pdf/taski.pdf
●【冊子】尚絅学院大学×ボランティアチームTASKI 「災害復興支援はじめの一歩」(PDF)
https://www.shokei.jp/taski/pdf/manual.pdf